電力編の32ページで、動画の説明で電線は周りが絶縁体に囲まれているから電線はコンデンサーとみなせるとのことでしたが、これは電線と大地が電極で、絶縁体が誘電体とみなすからでしょうか。
その通りです。離れた2点間に導体があり、その間に絶縁体が挟まれている構造になっているものは、全てコンデンサの性質を持ちます。
身近な例は、人間の体とドアノブ(離れた2点間の導体)の間に空気(絶縁体)が挟まれていればコンデンサとなり、そのコンデンサに電荷が溜まることで電位差が発生し、ドアノブに触れた瞬間に放電するのも、人体とドアノブの関係がコンデンサの極板と全く同じだからという事になります。
あと、原理上送電ケーブルの対地静電容量が大きいため、軽負荷時のフェランチ効果による電圧上昇を起こしやすいの部分を詳しく説明いただけないでしょうか。
ケーブルの対地静電容量が大きい場合、それを電源側から見ると、抵抗(送電線路の抵抗成分)とコイル(送電線路の誘導性リアクタンス)とコンデンサ(ケーブルの対地静電容量)が直列に接続されているように見えます。
つまり、これは理論で学んだRLC直列回路そのものです。
例えば、RLC直列回路において、Rが6Ω、Lが+j20Ω、Cが-j12Ω、そして電源電圧が10Vだったとします。
このとき、LCの合成リアクタンスが+j8Ωですから、RLCの合成インピーダンスは√(6^2+8^2)=10Ωです。
電源電圧が10Vでインピーダンスが10Ωですから、この回路には1Aの電流が流れます。
そして、-j12Ωのリアクタンスを持つコンデンサに1Aの電流が流れるということは、その両端に生じる電圧は12Vとなり、なんと電源電圧を超えてしまうことになります。
これは計算上そうなるだけでなく、本当にそうなります。電源電圧を超えるのは一見矛盾するように思えますが、これも理論で解説しました通り、LC直列部分は互いの性質が打ち消し合うため、このような事が起こりえます。
したがって、送電線路においても末端部分の対地静電容量が大きくなると、これと同じことが起こって送電端よりも電圧が上昇し、そのせいで絶縁破壊などの事故が起こる可能性がありますから注意しなければならない訳です。