SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成23年 電力 問11 過去問解説 マーレーループ装置の平衡条件)

電力 H23-11 の解答ですが、(エ)十分低いが、解答になりますが、どうして、十分低いが解になるのかいまいち理解できません。以上、宜しくお願い致します。

まず直感的に答えますと、もし故障点の地絡抵抗が100Ω、1000Ω、10000Ω…と高ければ高いほど異常度合いは小さく、正常稼働状態と変わらなくなっていきます。ケーブルの短絡故障を検出したいのですから、正常状態と大きくかけ離ればかけ離れるほど強く検出されることになり、そのためには地絡抵抗が低い方が大きな故障、つまり強力に検出されることになります。

理論的に考えます。マーレーループ装置に内蔵されている電源のアース側を見てください。

このアースは、被測定ケーブルに対してどこに接続されるかというと、図中「故障点」と書いてある部分のアースから外皮をたどり、×で示される故障点を経由してケーブルの心線に接続されます。ケーブルの心線は、

  1. ×点ー(左)-(マーレーループ装置のa点)ー電源の上側端子
  2. ×点ー(右)-(ケーブルA-接続線ーケーブルB)-(マーレーループ装置のa点)ー電源の上側端子

という2つの経路を通って電源に戻ります。このとき、

  • ×点ー(左)-(マーレーループ装置の下側端子)抵抗をR1
  • 0点-a点の抵抗をR2
  • ×点ー(右)-(ケーブルA-接続線ーケーブルB)-(マーレーループ装置の上側端子)の抵抗をR3
  • 1000点-a点の抵抗をR4

とすると、ブリッジの平衡条件から、

  • R1×R4=R2×R3

で平衡することになり、これから故障点が見つかります。

しかし、もし故障点の地絡抵抗が大きいと、この地絡抵抗がマーレーループ装置の電源と直列に入ってしまい、マーレーループ装置の平衡点がシャープに出なくなってしまいます。地絡抵抗が限りなく0Ωに近い完全短絡状態であれば、ブリッジ回路に流れる電流も大きくなるため、平衡点がシャープに出て故障点を探りやすくなります。

 

コメントを残す