SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問15b 過去問解説 コンデンサの極板間の電界)

平成24年度問15(b)について質問です。

先生が解説で仰っていた電界の大きさE=V/dは、電源電圧Eとは別物なのでしょうか。それとも電界の大きさE=電源電圧Eとして考えてもいいのでしょうか。

電界というのは、

距離1mあたり何ボルトの電圧差があるか

という値でして、そのため単位も[V/m]となっています。例えば、100Vのコンセントのプラグ間は約1cmで、この間に電圧差100Vが掛かっているため、コンセントのプラグ間に掛かる電界は10000V/mという事になります。

ここで問題に戻りますと、極板間の電界の大きさは、極板間の電圧差を極板間の物理的な距離で割った値になります。

題意から、「コンデンサの極板の形状および面積は同じで極板間に満たされている誘電体も同じ」ですから、コンデンサの静電容量は、C=S/dより、極板間距離に反比例します。

つまり、2μF:3μF:4μFの極板間距離は、1/2:1/3:1/4=6:4:3です。

この回路において、3μF:(2μF+4μF=)6μFの電圧比は2:1ですから、3μFには200V、4μFには100Vの電圧が掛かります。

以上より、3μFの極板間電界は200/4、4μFの極板間電界は100/3となり、200/4:100/3=600/12:400/12=6:4=3:2ですから、答えは(4)と求まります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成25年 理論 問1 過去問解説 コンデンサの物理的性質)

電検3種 H25年過去問 理論の問題1について質問です。

この問題では選択肢のa,bが間違いとなっていますが、

電界E= v/d=q/εs、V= qd/εsの公式を当てはめると、aもbも誘電体のεrに依存するのではないのでしょうか。

なぜ間違いなのか動画で解説が無かった為理解できていない為、ご教示の程よろしくお願いいたします。

電界E=q/εsという式ですが、これは「極板の面積がSで、そこにqクーロンの電荷が溜まっているとき、電界はq/εsとなる」ということを意味しています。ですから、コンデンサに既にqクーロンの電荷が蓄えられ、この電荷量が変化しない状況であれば、この式を用いて計算することができます。

しかしこの問題では、極板は電源に接続されています。つまり、必要に応じて極板上に蓄えられる電荷qは変動してしまうわけです。

では、何が変動しない値かというと、これは電源電圧です。極板間距離をd、電源電圧をVとすれば、Vが一定である以上、極板間の電界はV/dと決定され、εrに依存しないことになります。

V= qd/εsの式も同じで、電源電圧Vが固定され、εとsとdが一定の値、電源との間で電流は自由に流れる、ということから、q=εsV/dと変形して移動する電荷量qを求める式として使うことができます。極板間電圧が一定でdも一定である以上、電位分布はεrと関係ありません

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問17b 過去問解説 位相差30度が力率1となる理由)

電験3種 H27理論過去問 問17(b)についての質問です。

問題文でiaの波形はeaの波形に対して30度遅れていたとあります。Y-Δ結線で位相が30度遅れるということはわかるのですが、この問題文の「iaの波形はeaの波形に対して30度遅れていた」の記述でそれに気づけませんでした。

そもそもY-Δ結線で位相が30度遅れるというのは、ΔがYに対して何(電圧や電流)が遅れるのかはっきり理解できていないからかもしれません。Y-Δ結線で位相が30度遅れることと今回の問題文の「iaの波形はeaの波形に対して30度遅れていた」が同じ意味になる理屈をお教えいただきたいです。

一般に「Y-Δ結線で位相が30度遅れる」というのは、変圧器において一次側がY結線、二次側がΔ結線となっている場合、一次側の電圧波形に対して二次側の電圧波形が30度遅れることを意味しています。

Y結線であろうがΔ結線であろうが、単相変圧器は一次側と二次側が同相になりますから、今回の回路のようにΔ結線の電源に対してY結線の負荷が接続される状況は、本質的に変圧器のΔ結線・Y結線の関係と同じことです。

Y-Δ結線で位相が30度遅れることと今回の問題文の「iaの波形はeaの波形に対して30度遅れていた」が同じ意味になる理屈をお教えいただきたいです。

この図は、平成24年の問16の回路図ですが、V結線はΔ結線から一相を抜いたもので、発生する相電圧はΔ結線もV結線も違いはありませんから、これを流用して考えます。

Δ電源側の電圧の一相を基準として取り出すと、b’からa’に向かう赤矢印のようなベクトルの電圧を発生しています。ベクトルは平行移動することができますから、始点をY結線負荷側の中性点に移動させて緑色の位置に持ってきます。

ここで、負荷の中点からa’への電圧(青色のベクトル)と緑色のベクトルの関係を考えると、青色が30度の遅れになっていることが分かります。

つまり、負荷の力率が1であれば相電圧と相電流の位相が同じとなり、そうすればa’点に向かう相電流(平成27年問17でいえばia)はEa(平成27年問17でいえばea)より30度遅れることになります。

以上のようなロジックで、平成27年問17(b)は力率が1になる条件を求めれば良いということになるわけです。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問2 過去問解説 電位の連続)

平成24年度問2について質問です。

選択肢1.2.4の位置PやQの電位についてよく分かりません。位置PやQとは、ε0の領域とε1の領域の、どちらに含まれている位置なのかを厳密に考える必要はありますか?

コンデンサの性質は、極板に溜まった電荷によって誘電体内の電荷が引き寄せられるor反発することだと思うので、プラスに帯電している部分を電位が高い・マイナスに帯電している部分を電位が低いと呼ぶとしたら位置PやQは厳密にはどちらの領域内の位置なのかを考える必要があるのでは?と思いました。

考え方が間違っているとしたらどこが間違っているのかも教えて頂ければと思います。よろしくお願い致します。

PとQの位置は、どちらの領域に含まれているかで値が不連続に変わることはありませんから、厳密に考える必要はありません。これは何故かというと、電位は不連続になることはなく、連続であるからです。

電位というのは、

「電界に逆らって(あるいは、電界によって引き付けられる力に対抗しながら)宇宙の果てから1クーロンの電荷を1個、その場所まで持ってくるときに必要な力と距離を積算したもの」

です。遠くにあるうちはほとんど力は要りませんが、近付いてくるにしたがって電界からクーロン力を受けるようになります。この力と動かした距離を掛け算し、足し合わせたものが電位です。

このとき、媒質が異なる点を境にして受ける力が変化するようなことがあったとしても、その「力×距離」の結果が不連続に飛ぶことはあり得ません。したがって、誘電体が違う媒質の境界面の外側と内側を通過するときも、電位は連続となります。

某書籍 読者質問

SATの電験3種講座とは直接関係のない話ですが、諸般の事情により私の元に回送されてきた、某書籍の読者質問に対する返答です。

同期速度の式の分母2pとありますが、pではないでしょうか。同様の式が他のページにも散見されます。

電動機の極は、磁石のN極またはS極の1つをもって一極としています。しかし、磁石はN極やS極が単独で存在しないため、この数え方でいうと極数は必ず偶数になります。そこで、「極数を2p」として、暗黙のうちに極数は必ずSNの2対ずつという意味を持たせています。

同期速度は、良く120f/Pという式で表されますが、このPを2pという値に置換えたものとして考えていただければ、筋は通っているはずです。

(パーセント電圧降下を求める際、抵抗やリアクタンスにおける電圧降下を三相電圧の√3分の1で割っている式を指して)パーセント抵抗降下とパーセントリアクタンス降下の式中のルート3は不要ではないでしょうか。

パーセント抵抗降下やパーセントリアクタンス降下については、相電圧に対して一相あたりの電圧降下を求める場合はご指摘の通り√3は不要です。この式では、電圧降下の割合を求める計算式の分母を定格電圧(三相相電圧)を用いて定義しているため、あえて√3を入れて相電圧を求めてから計算する形になっています。このあたり、暗黙の前提があるため少々混乱することもあるかと思いますが、ご理解いただければと思います。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成28年 法規 問13 地絡電流の計算)

平成28年度 法規過去問題 問13(b)について

解説の地絡電流 1Aではなく 10Aではないでしょうか?按分した値と整合とれていません。

該当資料を確認したところ、ご指摘の通り、10Aであるところを誤って1Aと書いておりました。

正しく答えが求まっている(自分でも正しく答えを求めた)覚えがありますので、講座のPDF資料を作成する際、10とするところを誤って1としてしまったミスでした。

ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。また、ご指摘いただき感謝申し上げます。

SAT電験3種講座 電力 質問回答(電験3種 平成27年 電力 問3 発熱量と発電量の計算)

電力27年A問題 問3について質問です。

計算式に、30日間と言う内容がありませんが、何故かわかりません。重油消費量の1100tは、30日間連続運転時なので、式に出てこないのが、何故かわかりません。

あまり、理解出来ていないので、教えてください。

エネルギというのは、位置エネルギや運動エネルギ、熱エネルギ、電気エネルギなど色々な形があり、単位はジュール[J]で、それぞれ相互変換することができます。この問題の場合、「重油の燃焼による熱エネルギ」=「発電した電気エネルギ」という条件で式を立てることで答えを求めることになります。

熱エネルギを求める式は、

  • (燃料の重量)×(単位重量当たりの発熱量)

電気エネルギを求める式は、

  • (電力)×(時間)

ですので、出題の条件と照らし合わせてみます。

すると、熱エネルギは、

  • 1100[t]×1000[kg/t]×44000[kJ/kg]×1000[J/kJ](単位:ジュール[J])

電気エネルギは、

  • 5000[MW・h]×1000000[W/MW]×60×60[s/h](単位:[W・s]=ジュール[J])

(講義で使ったパワーポイントは誤って24が入っていますが、これは誤りです)

となり、実は「30日間」という数字は問題に関係ないことが分かります。

この問題は、エネルギの定義として、発熱量の単位ジュールと、電力量の単位1W×1秒=1ジュールがイコールである、という事さえ知っていれば求まる問題ですので、慌てて計算して誤ることの無いよう(…私も余計な24と入れて資料を作っておいて人のことを言えませんが…)お気を付け頂ければと思います。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(直流回路の電位差)

猫電(電気基礎)P44のQ3の解法がよくわかりません。電源の向きが回路に与える影響がイメージできず、回路が読めません。この手の回路を読み解く問題を理解する方法を教えてください。

まず、電圧というのは相対的なものであるということと、まず最初は回路中、電流が流れない部分は無視しても構わない、ということをご理解いただければと思います。

例えば、乾電池は1.5Vの電圧を発生させますが、これは「-極に対して、+極は相対的に+1.5Vの電圧を持つ」ことを意味します。そして、-極を基準(=ゼロV)として考えた場合、+極は+1.5Vということになります。

しかし、+極を基準にして考えると、「乾電池は、-1.5Vの電圧を発生させる」と言うこともできます。このように、電圧はあくまでも相対的なものですから、どこを基準に置くかで数値は変わってきます。

次に、電流が流れる部分についてですが、この回路は、「上の100Vの電池の+極~20Ω~30Ω~下の100Vの電池のー極~下の100Vの電池の+極~上の100Vの電池のー極」という部分が閉じた回路になっているため、電流はこの部分にのみ流れることになります。この部分だけを取り出して考えると、単に「100Vの電池が2個直列になっているものに、20Ωと30Ωの直列抵抗が接続されている」だけの回路であることが読み取れ、したがって流れる電流も200V÷50Ω=4Aと求まります。

さてここで、左側にアース端子が接続されている理由ですが、これは暗黙のうちに、「ここの部分を設置してゼロVという事にするよ」という印です。したがって、上の100Vの電池の+極は+100V、下の100Vの電池のー極はー100V、b端子が接続されている部分は+20Vとなります。

なお、同じ問題に対する回答

http://wp.khz-net.co.jp/?p=974

もご覧いただければより理解しやすいかと思います。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(単相誘導電動機の構造)

電験3種機械テキストP18について

単相誘導機では位相をずらして始動するという風に講義の中で紹介がありましたが具体的にどのように位相をずらし、回転させるのでしょうか。

誘導電動機は、回転磁界の中にコイルを置いて回転させますので、単相(180°の交番磁界)では、コイルを真横から押す力しか働かず、そのままでは回転することができません。

そこで、そのような180°の交番磁界を発生する極の近傍に、わざと短絡した巻線を施した小さな磁極を設けます。すると、交番磁界の一部がこの磁極を流れようとするとき、短絡コイル(隈取りコイルと呼びます)の影響で磁界に時間的な遅れが生じるため、交番磁界から隈取りコイルのある極方向に若干の回転磁界が発生することになります。これがスタートとなり、回転を続けることができる仕組みです。

この構造の電動機は「隈取りモーター」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%88%E5%8F%96%E7%A3%81%E6%A5%B5%E5%9E%8B%E8%AA%98%E5%B0%8E%E9%9B%BB%E5%8B%95%E6%A9%9F

と呼ばれて、実は我々の身近で良く利用されています。