電圧と電流の位相差が90°のコイルは電力を消費しないのはどうしてですか?
コイルの電圧・電流の様子について図を描きましたのでご覧ください。
まず、
- 素子の上側を電圧の+
- 上から下に電流が流れるのを+の電流
と決めます。
抵抗は、電圧が+であれば電流も+、電圧が-なら電流も-です。つまり、
- 電圧・電流共に同じ符号なら電力を消費する素子
であることを意味します。
電池は、電圧が+であれば電流が-、電圧が-なら電流は+です。つまり、
- 電圧・電流が互いに逆符号なら、電力を生み出す素子
であることを意味します。
ここでコイルの電圧と電流の波形を見てみます。すると、
- 電圧+電流-
- 電圧+電流+
- 電圧-電流+
- 電圧-電流-
を1/4周期ごとに繰り返していることが分かります。これは、コイルは電力を消費せず、受け取っては放出、受け取っては放出…を繰り返していることを意味します。
以上より、コイルは電力を消費しないことが分かります。ちなみに、コイルが受け取った電力はどこに行ったのかというと、磁気エネルギとして蓄えられています。電力を受け取る1/4周期では、電気エネルギを磁気エネルギに変換し、電力を放出する1/4周期では、磁気エネルギを電気エネルギに変換している、それがコイルの動作です。
なお、コンデンサの場合はこの図と電流の波形がプラスマイナス逆ですが、やはり働きとしては同様で、電力を消費せず受け取っては放出するだけであることが分かります。コンデンサの場合、電気エネルギを静電エネルギに変換し、静電エネルギを電気エネルギに変換することを繰り返します。