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電験3種過去問解説 平成21年理論問7

100∠0°や200∠0°というのはフェーザ表示といって、電源相互間の位相差を強調して表す表記法です。出題の回路で言えば、b端子からa端子に対しての電圧と、c端子からb端子に対しての電圧が全く同電圧・同位相であることを意味します。そして、c端子からa端子に対しては、b~a間とc~b間を足した200Vの電圧(位相はb~a間・c~b間と同じ)になることを示します。要するに、単相3線式回路です。

以上のことより、Iab、Iac、Ibcをそれぞれベクトルで求め、Ia=Iab+Iac、Ib=Iab-Ibc、Ic=Ibc+Iacを計算すれば答えは求まります。しかし、この問題は直感的に答えが求まるので、その考え方を示します。

まず、a~b間の負荷は、3Ωの抵抗と4Ωのコイルですから、インピーダンスは二乗平均を計算して5Ωです。同様に、b~c間も5Ω、そしてa~c間は10Ωです。したがって、Iab、Iac、Ibcの絶対値は全て20Aということが分かります。

ところで、a~b間の負荷は3+j4Ωに100∠0°の電圧、a~c間の負荷は6+j8Ωに200∠0°の電圧が掛かりますから、IabとIacは同位相であることが分かります。Iab、Iac、Ibcのうち明らかに同位相なのはIabとIacだけですから、これらの和であるIaが最も大きな電流であることが分かります。これを元にして選択肢を吟味すると、答えは(2)しかありません。

もちろんベクトル計算を全部すれば数学的に答えは求まるのですが、試験時間に余裕がない電験3種の試験ですから、出題側もある部分に気が付けば正解が絞られるように問題を作っている事が多い(というか、そういう問題の方がずっと多い)と感じます。問題を解く際は、出題側が気付いてほしいポイントはどこなのか?を考えるようにすると、用意されている近道が見えるようになることが多いでしょう。

(多くの受験生が求めているのは、馬鹿正直に?数値計算した結果を見せられるよりも、そういう「目の付け所」を知りたいと思っていると思いますので…)

電験3種過去問解説 平成21年理論問2

(1)…誤り 和→積

(2)…誤り 距離に→距離の2乗に

(1)と(2)はクーロンの法則より求まります。

(3)…正しい

(4)…誤り 面に沿った→面に垂直な

等電位面は、現実世界で言えば等高線のようなものです。等高線上にある物体は、等高線の方向に力を受けることはありませんが、等高線に対して垂直な方向、つまり転がり落ちる方向に重力を受けます。

(5)…誤り

コンデンサに電荷が蓄えられ、電源から切り離されている状態であれば、誘電体を入れると誘電体の誘電率に反比例して電界は減少します。コンデンサが電源に接続されたままであれば、誘電体を入れても電界は変わりません。いずれにしても誘電体を挿入することで電界が増大することはありません。