「国家試験過去問解説」カテゴリーアーカイブ

平成29年度電験3種問題解説・理論問13

【解答】(3)

バイポーラトランジスタは、B~E間に流した電流の数十~数百倍の電流がC~Eに流れる素子です。この出力電流の変化を電圧変化に変換するため、負荷抵抗RLを挿入します。

動作点のVCEが4.5Vということから、図2よりコレクタ電流ICが約1.5mA、ベース電流IBが約6μAと求まります。なお、IC=0のときのVCEが9Vということから、電源電圧は9Vであることが読み取れます。

トランジスタのB~E間電圧は無視できるという条件から、RBは両端に電源電圧9Vが掛かったとき6μA流れれば良いこととなり、

  • 9÷(6×10-6)=1500000=1.5×106=1.5MΩ

と求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問12

【解答】(5)

紫外線ランプは、殺菌灯として利用されている透明な蛍光灯のことです。外形は一般の蛍光ランプと変わりませんが、石英ガラス管を用いることで紫外線を取り出します。

構造や発光原理も一般の蛍光ランプと変わりません。ガラス管の両端に電極を設け、管内には希ガス(アルゴン)と微量の水銀が封入され、陰極から出た電子が水銀蒸気と衝突することで強力な紫外線を放出します。

平成29年度電験3種問題解説・理論問11

【解答】(2)

  • 表皮効果

導線に交流電流を流すとき、電流が導線表面にのみ流れる現象。

  • ホール効果

電流を通す物体に対して電流に垂直に磁場を掛けると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象。

  • 整流作用

半導体のPN接合が一方向にのみ電流を流す作用。

  • 太陽電池

半導体のPN接合に光を与えると発電する作用。

  • 発光ダイオード

半導体のPN接合に電流を流すと光を発する作用。

  • 超伝導現象

特殊な物性材料において完全に抵抗値がゼロとなってしまう現象。

  • 圧電効果

誘電体に機械的歪みを与えると電子が外部に飛び出す現象。

平成29年度電験3種問題解説・理論問10

【解答】(1)

コイルの基本的な性質を知っていれば即座に解ける問題です。

コイルは、電流が流れていない状態から直流電圧を掛けられた瞬間、内部に電流が流れ込むのを阻止する働きをします。しかし段々と電流が流れるようになっていき、ついには単なる導線と同じになってしまいます。

したがって、スイッチSを閉じた瞬間、コイルに電流は流れませんからコイルは切り離されたのと同じ状態となり、R1に流れる電流は、電源電圧Eに対して抵抗R1とR2が直列に接続されただけの回路となるので、(ア)はE/(R1+R2)です。

十分時間が経って定常状態となったとき、直流に対してコイルは単なる電線となるため、R2は短絡したものと見なせます。したがって(イ)はE/R1です。

平成29年度電験3種問題解説・理論問9

【解答】(3)

考え方を知らないと難しくて投げだしそうな問題ですが、重ね合わせを使えばいいことを知っていればとても簡単な問題です。つまり、

  • 5Ωの抵抗に、6sinωtの電流が流れたときに消費される電力
  • 5Ωの抵抗に、2sin3ωtの電流が流れたときに消費される電力

の2つを足し合わせれば良いわけです。

6sinωtは、正弦波の最大値が6アンペアであることから、実効値は√2で割って求められます。したがって、

  • P=I2R=(6/√2)2×5=90[W]

同様に、2sin3ωtは最大値2アンペアの電流ですから、

  • P=I2R=(2/√2)2×5=1 0[W]

以上を足し合わせて100Wが求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問8

【解答】(5)

第二種電気工事士レベルで解けるサービス問題です。

まず、R1とR2の並列抵抗を1つの抵抗とみなすと、単純なRL直列回路となります。100Vの電源から20Aの電流が流れだしていますから、RL直列部分のインピーダンスは5Ωです。

RL直列回路のインピーダンスは、コイルのリアクタンスと抵抗値の二乗平均ですから、

  • √(4^2+R^2)=5

となります。これより、R1とR2の並列抵抗Rは3Ωと求まります。

出題文よりR1とR2の電流比は1:3なので、抵抗値は3:1であることから、

(R1×R2)÷(R1+R2)=(3R2×R2)÷(3R2+R2)=(3/4)R2=3

以上より、R2は4Ωと求まりますから、R1はその3倍の12Ωと求まります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問7

【解答】(1)

このような抵抗の組み合わせ回路は、単純化できる部分から順に単純化していきます。

まず、一番右の1Ωと右から2番目の1Ωは直列接続されているので2Ωの抵抗ひとつに置き換えることができます。すると、右から3番目の2Ωとこの2Ωは並列接続されていることになるので、この合成抵抗は1Ωです。右から4番目の1Ωとこの1Ωは直列接続なので、これらの合成抵抗は2Ωとなり、右から5番目の2Ωと並列であることから、これとの合成抵抗は1Ωです。したがって、この回路は、

  • 12Vの電源の+端子~1Ω~1Ω~12Vの電源の-端子

と接続されているだけの回路に単純化されてしまいます。したがって回路に流れる電流は6Aとなり、(ア)の選択肢は「大きい」です。

電流の正体は電子(自由電子)の流れですが、歴史的な経緯より、電流が流れる向きと電子の流れる向きは逆と定義されています。したがって、(イ)の選択肢は「上から下」です。

この回路は、12Vの電源に、2本の1Ωの抵抗が直列に入っている回路と等価です。したがって、個別の抵抗で消費される電力は、電源が供給する電力に対して半分ずつです。これより(ウ)の選択肢は「0.5」です。なお、問題中に「0.25sの間に」とありますが、この値を計算に使う必要はありません。

抵抗で消費された電力は熱エネルギとなります。これは空気中などに放散されていきますが、移動する熱量は、発熱体とその周囲との温度差にほぼ比例します。たとえば、暖かい時期は熱い飲み物が冷めにくく、真冬では熱い飲み物もすぐに冷めていくことからも理解できると思います。したがって、(エ)の選択肢は「ほぼ比例」です。

平成29年度電験3種問題解説・理論問6

【解答】(5)

この回路が定常状態ということは、

  • コイルは単なるゼロΩの導線
  • コンデンサは完全に切り離された状態

とみなせることになります。したがって、C1とC2を取り去り、L1とL2を短絡した回路に置き換えると、これは100Vの電池に20Ωと30Ωの抵抗が直列に接続された回路とみなすことができ、回路に流れる電流は2Aと求まります。

さて、コンデンサに蓄えられる静電エネルギとコイルに蓄えられる磁気エネルギは、

  • CファラドのコンデンサにVボルトの電圧が掛かっているとき…CV^2/2
  • LヘンリーのコイルにIアンペアの電流が流れているとき…LI^2/2

で求められます。ここで、C1にかかる電圧はR1にかかる電圧と同じで、2A×20Ω=40V、L1に流れる電流は2A、C2にかかる電圧は2A×30Ω=60V、L2に流れる電流は2Aであることから、

  • C1の静電エネルギ…(1/2)×400×10-6×402
  • C2の静電エネルギ…(1/2)×600×10-6×602
  • L1の磁気エネルギ…(1/2)×20×10-3×22
  • L2の磁気エネルギ…(1/2)×40×10-3×22

で求まり、これを全部足すと1.52Jとなります。

平成29年度電験3種問題解説・理論問5

【解答】(3)

大サービス問題だと気付きましたでしょうか。

一番上の5Ωの両端の線をたどると、一周まわって短絡されていることが分かります。したがってこの5Ωには電流が流れないので、取り去ることができます。

次いで2本の10Ωの両端をたどると、こちらも2本が並列接続されていることが分かります。したがって、この回路は、25Vの電源に、20+5=25Ωの抵抗が接続されているものと同じですから、電流は1Aです。

 

平成29年度電験3種問題解説・理論問4

【解答】(5)

知識問題です。BH曲線とは、磁性体にHの磁場(横軸)を与えたとき、内部に発生する磁束密度B(縦軸)との関係を描いたグラフです。

まず原点から飽和磁束密度まで磁界の強さを大きくした後、外部磁界を取り去ると磁性体内部にはaの磁束密度が残ることになります。これを残留磁気といい、磁性体内部の微小磁石が外部からの磁場によって向きを変えられた後、元に戻らない微小磁石が多ければ多いほどaの値は大きくなります。この状態から逆方向に外部磁場を与えていくと、磁性体内部の微小磁石の合成磁束がゼロになる点があり、これがグラフ中のbとなります。

このヒステリシス曲線が囲む面積が大きければ大きいほど、外部から与えた磁場に対して磁性体内部の微小磁石の向きが変わりにくいことを表し、変圧器などにはヒステリシス曲線に囲まれる面積が小さいものが、永久磁石にするためには面積が大きいものが適していることになります。