SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成24年 理論 問16 Δ-Y回路に流れる線電流と位相差)

平成24年度理論過去問の問16について、下記解説の中に疑問があります。I1が接続されている負荷Z=5√3+j5Ωの両端の電圧(青矢印)を求める際に、図の、スター結線上にベクトルを表現し計算をしていますが、なぜそれが可能なのでしょうか。電源電圧をデルタ結線からスター結線に変換する際に位相を考える時、なぜ上記のようなスター結線上でのベクトル計算が可能になるのかが分かりません。

結論から言いますと、三相各相の位相差120°と、回路図の接続方法が幾何学的に同一になっているからです。

まず前提として、ベクトルは平行移動が可能であるということを念頭に置きます。

交流発電機は、円周上をグルグル回転する円上の点の高さを取った値であるsin波形の電圧を発生しています。そこで、電圧波形などはある瞬間で時間を止め、その時の波形のベクトルを用いて互いの関係を表現します。

ここで例えば、Eaが配線図の角度のように、基準から時計回り120°の電圧を発生させている瞬間を考えます。

このとき、EcはEaに対して-4π/3、つまり-240°ですから+120°をEaに足して240°の電圧を発生していることになります。

同様にして、EbはEaに対して-120°ですから、真右方向の電圧ベクトルになります。

これらは、丁度この回路図の互いの角度関係とぴったり同じになっているため、回路図上にベクトルを立てて負荷側に平行移動し、Δ電源からY負荷を接続した場合の電圧位相の関係を求めることができたわけです。

このように、三相各相の位相差を、回路図上にそのまま表現できることを利用すると、ベクトルを用いた位相計算が直感的に分かりやすくなるのではないかと思います。

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