「猫電」カテゴリーアーカイブ

猫電テキストp34ベクトル図の誤り

猫電テキストp34について質問です。

DVDの説明のテキストと頂いたテキストの図が異なっています。正誤表がありますが、正誤表の記述も曖昧で、DVDが間違っているのか、頂いたテキストが間違っているのか分かりずらいです。DVDの説明でコイルの式、jV/I であるから、+Jになるからコイルとコンデンサがひっくり返っているという説明がよくわかりません。一番混乱しやすいところで、テキストが間違っているし、説明は曖昧だし、詳細な説明をよろしくお願いいたします。

34ページの図につきましては、御指摘の通り、テキストの方が誤っています。上下ひっくり返した図が正しいものとなります。

改めてこの辺りを整理しますと、次のようになります。

 

  • コイル…両端に与えられた電圧の波形に対して、電流が90°遅れて流れる。ベクトル図で、虚数のjは時間的に90°進んでいることを表す記号なので、電流は-jと表される。(コイル両端の電圧)÷(コイルに流れる電流)を求めると、分母が-jであるため、求められたリアクタンスは+jが付くことになる。つまり、インピーダンスを表すベクトル図では、+90°方向となる。

 

  • コンデンサ…流れ込んだ電流の波形に対して、両端の電圧の波形が90°遅れて発生する。つまり、両端の電圧の波形に対して、電流の波形は90°進むことになる。したがって、ベクトル図では、電流が+jと表される。

(コンデンサ両端の電圧)÷(コンデンサに流れる電流)を求めると、分母が+jであるため、求められたリアクタンスは-jが付くことになる。つまり、インピーダンスを表すベクトル図では、-90°方向となる。

 

以上のことより、P.34の図は上下が反対になっていることが分かります。

ご迷惑をお掛けしており申し訳ありません。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(直流回路の電位差)

猫電(電気基礎)P44のQ3の解法がよくわかりません。電源の向きが回路に与える影響がイメージできず、回路が読めません。この手の回路を読み解く問題を理解する方法を教えてください。

まず、電圧というのは相対的なものであるということと、まず最初は回路中、電流が流れない部分は無視しても構わない、ということをご理解いただければと思います。

例えば、乾電池は1.5Vの電圧を発生させますが、これは「-極に対して、+極は相対的に+1.5Vの電圧を持つ」ことを意味します。そして、-極を基準(=ゼロV)として考えた場合、+極は+1.5Vということになります。

しかし、+極を基準にして考えると、「乾電池は、-1.5Vの電圧を発生させる」と言うこともできます。このように、電圧はあくまでも相対的なものですから、どこを基準に置くかで数値は変わってきます。

次に、電流が流れる部分についてですが、この回路は、「上の100Vの電池の+極~20Ω~30Ω~下の100Vの電池のー極~下の100Vの電池の+極~上の100Vの電池のー極」という部分が閉じた回路になっているため、電流はこの部分にのみ流れることになります。この部分だけを取り出して考えると、単に「100Vの電池が2個直列になっているものに、20Ωと30Ωの直列抵抗が接続されている」だけの回路であることが読み取れ、したがって流れる電流も200V÷50Ω=4Aと求まります。

さてここで、左側にアース端子が接続されている理由ですが、これは暗黙のうちに、「ここの部分を設置してゼロVという事にするよ」という印です。したがって、上の100Vの電池の+極は+100V、下の100Vの電池のー極はー100V、b端子が接続されている部分は+20Vとなります。

なお、同じ問題に対する回答

http://wp.khz-net.co.jp/?p=974

もご覧いただければより理解しやすいかと思います。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(誤植指摘)

冊子名: 猫でも分かる電気数学講座(改訂版)

 

誤植  p.129 上から11行目

乗用対数 ではなく 常用対数 ではないか

回路図 p.131  C の記号は = ではないか(Eの記号の表記と同じになっている)

分配法則 p.140

A+(B・C)=(A+B)・(A+C)

成立しないのではないか

>乗用対数 ではなく 常用対数

御指摘の通り、誤植でございます。

>回路図 p.131  C の記号は = ではないか

私の手元にテキストの現物が無いため即座に確認が出来ず申し訳ありませんが、御指摘通りで正しいかと思います。

>分配法則 p.140

>A+(B・C)=(A+B)・(A+C)

>成立しないのではないか

こちらも現在手元にテキストが無いのですが、御指摘の通り、記号の+と・は逆ですね。

A・(B+C)=A・B+A・C

が正しい式となります。

ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。また、わざわざご指摘いただきましたこと、感謝申し上げます。

SAT電験3種講座 質問対応改善

SATさんの方で、質問対応の専門人員を確保してくださることになりました。

これまで、長いと一週間ほど質問を貯めてしまっていたので、だいぶ状況は改善されるかと思います。もちろん、そちらで回答できない質問については私に回ってくると思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます…。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(直流回路の電位差)

誰でも分かる電気基礎講座テキストp44のQ3でa-b間の電圧というのはどこの部分ですか?
どの部分か分かるようにマーキングお願いします。
あと、解答でなぜ最も低い部分を0Vと置くのか、a-b間の電圧で120-100になるのか 全体的に分かりやすい解答をお願いします!

まず、a-b間の電圧については画像を添付しますのでご覧いただければと思います。

もっとも低い部分を0Vとする理由ですが、これは勿論どこを基準電圧と置いても構いません。電圧というのは相対的なもので、物理学的に言って究極的には宇宙の果ての無限遠点をゼロとします。

とはいえ、この回路ではそんな難しいことを考える必要は無く、100Vの電池が2個直列、それに対して20Ωと30Ωの2本の抵抗が直列になっている、というだけの回路と考えれば良いですから、一番下の線を0Vと置くことで、a点は+100V、20Ωの上の点は+200V、そしてオームの法則より20Ωの両端の電圧は80V、30Ωの両端の電圧が120Vということで、b点の電圧は、一番下の線を0Vとした場合に相対的に+120Vである、と考えたわけです。

もちろん、a点が0V、20Ωの上の線が+100V、30Ωの下の線が-100V…というようにa点を基準電位の0Vと考えても、a-b間の電圧差が20Vとなることに変わりはありません。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(電気の勉強の進め方)

猫電基礎P12の件です。
標題頁等の進め方の件です。 例題 単位説明の約分の説明(なぜ単位と電線の抵抗式の約分の発想がでるのか?、又、約分出来るのか?等)が理解出来ない時は、(先生の説明は重要なので)あちこち調べて理解出来るようにしたほうが良いのか、とりあえず公式を使って進む方が良いのか?...。発想方法?と飛ばす所の判断の仕方をご教授願います。

この辺りの勉強の進め方は、人それぞれ向き不向きがありますので、絶対にこれが良い・これがダメというものはありません。理屈は良く分からないけどとにかく覚えてガンガン進めていき、なんとなく問題が解けるようになってから振り返って理屈が分かるようになる、という方も居ない訳ではありません。

しかし、特に電気の基礎理論においては、ひとつひとつ理解してイメージを掴みながら進めていく方が、結果的には良いのではないかと思います。特に、昨今はインターネットの普及により、分からない事柄でも検索サイトやWikipediaなどを頼りにしてすぐに調べることができます。これらを活用しないのは勿体無いですから、あちこち調べて理解しながら進めていただければと思います。

電気は目に見えないものですから、どうしてもイメージが掴みにくいところがあります。しかし、オームの法則のところで、水の圧力や流れの例を持ち出して話しましたように、実は身の回りの似たような事象に置き換えて考えれば分かりやすい点は多々あります。諦めることなく(と口で言うのは簡単でも、実際はなかなか難しいものですが…)勉強を進めていただければ幸いに存じます。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(オームの法則のイメージ)

  V        水を押し流す勢いの多きさ
I=― 水が流れる量=―――――――――――
R        ホースの水の流れにくさ
はイメージできますが

V             水を押し流す勢いの大きさ
R=― ホースの水の流れにくさ=――――――――――――
I             水が流れる量

をイメージできないのですがどのように考えたらよいですか。

水道の口に細いホースを取り付けた場合と、太いホースを取り付けた場合を考えます。そして、水道の栓を開けて、ホースの先端から出てくる水の量を観察することにします。このとき、ホースが太ければ大量の水が出てきますし、ホースが細ければ水はちょっとずつしか出てきません。

ここで、観察者が、ホースの太さを知らず、どちらも水道の栓をひねった量は一定であることと、出てくる水の量だけしか分からないとすれば、当然ながら大量に水が出てくる方はホースが太くあるいは短く、水が少しずつしか出てこない方はホースが細くあるいは非常に長いことが想定できると思います。

これを数式で表すと、水が流れてくる量とホースの抵抗は反比例することが分かりますから、R=V/I、つまりRはIに反比例することが想定できるかと思います。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(真空中の誘電率の値)

猫でもわかる電気数学のp18のクーロンの法則ですが
1/4πε0=9×10の9乗とあるのですがこの値は常に同じなのでしょうか?
そしてこの値は覚えたほうがいいのでしょうか?
アドバイスお願いします。

この値は誘電率といい、その場所(真空中か、空気中か、あるいは水の中など)によって変わる値です。

9×10^9というのは真空中の値で、空気中の値は厳密には少し異なるのですが、ほとんど無視できるほどの差異なので、空気中でも真空中でも一般的にこの値を用います。

出題によっては別の値を用いる可能性がないとは言えませんが、事実上この値だけ覚えておけば良いでしょう。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(分数の割り算)

猫でもわかる電気数学講座6ページの(4)の問題分数の割り算は分子と分母をひっくり返して掛け算にするとのお話しでしたがどういう考え方があってそれが成り立っているのでしょうか。教えてください。

まず、掛け算と割り算の基本的な性質についておさらいします。

例えば、掛け算で6倍するというとき、数式では×6と書きますし、10倍なら×10です。
ここで、6や10をわざと分数にすると、(1分の6)や

(1分の10)とも書くことができます。

次に、割り算で6で割るというとき、数式では÷6と書きますし、10で割るなら÷10です。これを分数で表すと、

(かける6分の1)や

(かける10分の1)とも書けます。

つまり、「nを掛ける」のと「nで割る」のは、ともに分数の掛け算で書くことができ、掛け算なら「1分のn」、割り算なら「n分の1」のように、分母・分子を逆にすれば掛け算と割り算を逆にすることができます。

さて、ここで分数の割り算です。例として、何でもいいのですが

 

(わる4分の3)を例にします。上記の掛け算と割り算の性質より、この式は、

 

(かける(4分の3)分の1)と書くことができます。

分数は、分母と分子に同じ数を掛けても成立しますから(例:1/6=2/12=3/18…)、分母と分子に4を掛けます。すると、この式は、

 

(かける3分の4)となり、分母・分子を逆にした掛け算と表せることが分かります。

これは3/4だけでなくどんな分数でも同じですので、色々と当てはめて試していただければ納得できるかと思います。

SAT電験3種講座 猫電 質問回答(コイルと抵抗の直列回路における消費電力)

猫でもわかる電気基礎P43

2番目の例題ですが解答欄でP=20 ^2 × 6 = 2400wなぜ合成抵抗10Ωでなくて6Ωをかけるのかわかりません。教えていただけますでしょうか?よろしくお願いします。

詳しくは電験3種の理論編で詳しく解説していく内容なのですが、電気回路の抵抗・コイル・コンデンサの性質として、

  • 抵抗は、電力を消費して熱に変える
  • コイルやコンデンサは、電力をいったん受け取るものの、それを電源側に投げ返してしまい、電力を消費して熱に変えるなどの働きをしない

という性質があります。この回路のように、抵抗とコイルの両方が含まれた組み合わせ回路は、これらの性質が組み合わさることで複雑な挙動を示すのですが、現段階では上に挙げたことを覚えておいていただければ大丈夫です。

したがって、この問題で求める全消費電力、すなわち抵抗で消費されて熱に代わる電力は、電流の2乗×抵抗の値で求められることになります。