「法規」カテゴリーアーカイブ

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成26年 法規 問10 過電流遮断機の定格電流と電線の許容電流)

過電流遮断器の定格電流は3倍、電線の許容電流は1.25倍か1.1倍です。ということは遮断器の方が定格電流が高いです。でも図では電線の許容電流が一番高くなっているのはなぜですか?電線の方が定格電流が高くないとおかしい気がします。電線の定格電流になる前に遮断器が作動しないと電線が溶けてしまいそうです。

これについては「法的にそう規定されているから」ではあるのですが、もうちょっと深く突っ込んでお答えします。

確かに、理論的には、可能性として考えられる最大の電流に耐える電線を用意しないと、過電流によって電線は危険な状態になってしまいます。しかし、機械などの科目でも出てきた通り、特に誘導電動機などは起動初期の短い時間に非常に大きな電流が流れ、その後落ち着くという特性を持っています。もしそれに耐えるだけの電線を用意するとなると、極めて大容量の電線を用意しなくてはいけません。

一方、電線の許容電流は、ジュール熱による発熱によって規定されます。したがって、短時間であれば、電線の許容電流を超えて電流を流しても現実問題として特に問題は発生しないという事実があります。

以上のことより、電動機の特性、遮断機の遮断特性、電線の発熱量などを総合的に考慮し、短時間であれば電線の許容電流を超えても問題は発生しないという事情と太い電線は非常に値段が高くなるという事情を加え、このように規定されているわけです。

法律が「電線の過電流」にお墨付きを与えるというのも変な感じがしますが、電線の熱容量(発熱した場合の温度上昇のしにくさ)なども鑑みた上でこのように規定されていますから、現実的に何ら問題は無いわけです。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成25年 法規 問11(a) 過去問解説 高圧進相コンデンサの劣化判断計算)

平成25年度の法規過去問題の問11の(a)の解説におきまして先生は50kvar/(6600V/√3)で無効電流を出してそれぞれの比にあてて計算すればいいと解説がありましたがいくらやっても導き出せません。分母が√3×6600であれば答えが出たのですが、私の勘違いでしょうか。ご教授お願い致します。

まず、内部素子がY結線ですから、一相分について考えてみます。

一相分の相電圧は、(6600/√3)Vです。

また、コンデンサの全容量が50kVarですから、一相分については(50/3)kVarです。

コンデンサの無効電力は、電圧×電流で求められますから、これよりコンデンサに流れ込む電流を求めると、

(50000/3)÷(6600/√3)=約4.37Aとなります。これが定格電流になります。

ここで、S相とT相はその1.15倍ですから、約5.0A、R相は1.5倍で約6.6Aが求まります。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種平成25年問13 完全地絡事故発生時の電圧から求めたD種接地抵抗)

過去問380ページ 法規 問13の(b)問題で答えが、33.3Ωになったので、答えの選択肢は、(5)35 の方が近い答えだと思うんですが、なぜ(4)30 が正解になるのでしょうか?

この問題は、平成25年の問13かと思いますが、出題文の条件として「完全地絡事故が発生した場合の対地電圧を25V以下としたい」とあります。計算値では33.3…となりますが、これをもし35Ωにしてしまうと、完全地絡事故発生時の対地電圧が25Vを超えてしまいます。したがって、計算値に最も近く、かつ計算値よりも下の値として30Ωが正解ということになります。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電技解釈143条 電気機械器具を住宅の屋内配線と直接接続しなければいけない例)

 電気設備技術基準の解釈第143条第1項によりますと、2kw以上の電気機械器具は住宅の屋内配線と直接接続しなければいけないとあります。

一般住宅において200V使用のエアコンなどは確かに専用の配線、開閉器や過電流遮断機に接続されてはいます。ですが、器具直結ではなく200Vコンセントを使用するようになっていることがほとんどではないかと思いました。これは本来直結でなくてはいけないが、許容電流が十分な専用配線であれば実務的にはコンセントでつないでいるということなのでしょうか?家庭用200Vエアコンはエルバー、タンデムなどコンセント接続を前提として販売されているように思います。

おっしゃる通り、電技解釈143条には、住宅の屋内電路についての規定があります。

しかし、条文を頭から良く見ると、

  • 「住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。以下この項において同じ。)の対地電圧は、150V以下であること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。」

とあり、その「次の各号のいずれか」のうちのひとつとして、

  • 「定格消費電力が2kW以上の電気機械器具及びこれに電気を供給する屋内配線を次により施設する場合」

の例として

  • 「電気機械器具は、屋内配線と直接接続して施設すること。」

と記されています。

つまり、屋内電路の対地電圧が150V以下であれば、定格消費電力が2kWに関係なくコンセントを使用して構わないということになります。

200Vの器具を直結で使用しなければいけないのは、対地電圧が150Vを超える場合、つまり三相200Vを家庭内に引き込み、その電気を使って強力な電磁調理器や強力なエアコンを使用するという例になります。そんな例があるのか?と思われそうですが、私の知るかぎり、在日米軍関係者が、アメリカから強力な電磁調理器を取り寄せて設置して使いたいという強い希望があり設置するという例を聞いたことがあります。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成28年 法規 問13 地絡電流の計算)

平成28年度 法規過去問題 問13(b)について

解説の地絡電流 1Aではなく 10Aではないでしょうか?按分した値と整合とれていません。

該当資料を確認したところ、ご指摘の通り、10Aであるところを誤って1Aと書いておりました。

正しく答えが求まっている(自分でも正しく答えを求めた)覚えがありますので、講座のPDF資料を作成する際、10とするところを誤って1としてしまったミスでした。

ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。また、ご指摘いただき感謝申し上げます。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(D種接地抵抗値の計算)

平成25年度法規過去問題13(b)

D種接地抵抗値の33.3Ωは簡単に出せるのですが、回答選択肢の(4)30Ωと(5)35Ωどちらにするか迷いました。近い数値差としては33.3-30=3.3 / 35-33.3=1.7 となり、一瞬35Ωの方が近いのではと思ってしまいましたが、35Ω×0.75A=26.25Vとなり設問の対地電圧25Vを上回ってしまうため×でそれを下回らない30Ω×0.75A=22.5Vが正答という考え方でよろしいでしょうか?初歩的な質問で大変恐縮ですがご回答いただければ幸いです。

結論としてはおっしゃる通りです。

接地は、事故発生時の感電事故を防止するために設けているものですから、選択肢に迷った場合、より低い接地抵抗値の選択肢を選んでいただければOKです。規定よりも高い電圧になっては危険性が増してしまうため、近い値とはいえ計算よりも高い方を選んではいけません。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(B種接地の必要性)

電験三種法規編p36の二行目でB種接地を行うとありますが講義の中でこれは当たり前と先生がおっしゃっていたのですが、よく分かりません。なぜB種接地なのですか?

B種接地についてですが、簡単に言いますと、これは6600Vの高圧線から、普段我々が使っている100Vのコンセントの電圧に電圧を落とす変圧器の二次側に施される接地です。

接地抵抗は計算で求めるようにと規定されていますが、この計算は要するに、変圧器内で万が一、6600Vの高圧線と二次側の低圧線が接触してしまった場合でも、二次側には150V以上の電圧が発生しないように接地抵抗値を計算するようになっています。(短い時間で自動的に遮断される遮断機がある場合は、300Vや600Vが生じてもいいという規定にはなっていますが、基本的には150Vです)

もしB種接地が施されていない場合、万が一の事故が発生した際にコンセントに6600Vの電圧が掛かってしまう事になり、これはもちろん極めて重大な事故の要因になるはずです。したがって、B種接地は必ず施されていなければならない、という事になります。

SAT電験3種講座 質問対応改善

SATさんの方で、質問対応の専門人員を確保してくださることになりました。

これまで、長いと一週間ほど質問を貯めてしまっていたので、だいぶ状況は改善されるかと思います。もちろん、そちらで回答できない質問については私に回ってくると思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます…。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成22年 法規 問12b D種接地抵抗値の計算)

P.28例題
D種接地抵抗値を求めるのに式の展開が分かりません。どのように求めたらいいのでしょうか。

この問題は、理論の基礎で学んでいるオームの法則、抵抗の並列回路の合成抵抗値、流れる電流の計算が基本となります。
接地抵抗と人体の抵抗が並列となった場合、そこに発生する電圧や人体に流れる電流を求めることになります。
抵抗の並列の計算式が入るため、計算が若干面倒になりますが、ひとつひとつ段階を踏んで計算していただければ良いでしょう。

SAT電験3種講座 法規 質問回答(電験3種 平成24年 法規 問12(b) 力率改善と電圧降下の計算)

法規24章の例題について解説をお願いします。

この問題は、理論で出てきた有効電力と無効電力、皮相電力の関係と、電力で出てきた、抵抗とリアクタンスを含む線路の電圧降下の簡略式を使います。

まず、求めやすい値から求めます。工場の負荷が2000kW、最初の力率が0.6ということから、皮相電力や無効電力を求めることができます。有効電力をP、無効電力をQ、皮相電力をX、電圧と電流の位相差をθとすると、

  • P=Xcosθ
  • Q=Xsinθ
  • tanθ=sinθ/cosθ

より、

  • Q=Ptanθ

という式が成り立つことが分かります。また、

  • (sinθ)^2と(cosθ)^2を足すと1

ですから、P=2000kWのとき、

  • Q=Ptanθ=P(sinθ/cosθ)=P(√(1-0.6^2))/0.6=2666.7[kVar]

と求まります。電圧降下の簡略式は、線路の電流をI、送電線の抵抗をr、送電線のリアクタンスをxとして、

  • √3I(rcosθ+xsinθ)

でした。題意より、力率改善後において、送電端は6600V、受電端が6300Vですから、電圧降下は、

  • √3I(rcosθ+xsinθ)=300V

です。また、負荷で消費される有効電力は、三相電力の式から

  • 有効電力P=√3×受電端電圧×負荷電流×cosθ
  • 無効電力Q=√3×受電端電圧×負荷電流×sinθ

なので、

  • 300=(有効電力×r÷受電端電圧)+(無効電力×x÷受電端電圧)

と変形することができます。ここでr=0.5Ω、x=1Ωを代入すると、

  • 300=(2000000×0.5÷6300)+(Q×1÷6300)

となるので、ここから

  • Q=890[kVar]

が求まります。したがって、

  • 2666.7-890=1776.7[kVar]

が、電力用コンデンサによって吸収された無効電力値ということになります。