「2015年理論」カテゴリーアーカイブ

電験3種過去問解説 平成27年理論問17

(a)

この回路は、負荷側がY結線、負荷に並列に接続されるコンデンサがΔ結線であるところまではすぐ分かりますが、電源側がΔのうち2相しかないV結線となっています。

題意より、eaとebの間の位相が120°ということは、Δ結線から一相分抜けているecはeaに対して-240°となり、負荷から見ると三相Δ結線と同じに見えることが分かります。どうしてecが-240°になるかは、図で示します。

図中で定義されたecについて、ecのベクトルの始点から終点に向けて考えると、ec=-ea+(-eb)となります。ベクトルの引き算は、逆ベクトルの足し算ですから、図のように-ebと-eaを足したものは、eaから+120°(-240°)のベクトルとなり、ea・eb・ecは120°ずつの位相差の三相交流となることが求まります。

電源電圧は、Δ結線の線間電圧がEsin(ωt)の式、ω=2πfであることと照らし合わせると、電圧の最大値が100√6[V]、周波数fが50Hzであることが分かります。したがって、線間電圧の実効値は100√6を√2で割って100√3[V]です。

コンデンサを切り離した回路において、コイルのリアクタンスはjωLで求まります。電源周波数が50Hzなので、リアクタンス値はj×2×π×50×16×10^-3≒j5Ωとなります。したがって、一相当たりのインピーダンスは5Ωとj5Ωの二乗和で5√2Ωとなります。

Y結線負荷の相電圧は、線間電圧の√3分の1ですから、負荷の相電圧は100Vです。したがって負荷に流れる電流は100/5√2[A]=10√2[A]、この電流が5Ωの抵抗に流れるので、抵抗の消費電力は(10√2)^2×5=1000[W]です。これが3相分ですから、答えは3kWと求まります。

(b)

題意より、コンデンサを接続することで負荷の力率が1になるようにすれば良いことが分かります。「iaの波形はeaの波形に対して位相が30°遅れていた」ことがなぜ力率1になるかという説明は、こちらを参照ください。

まずY結線のCで考えます。5+j5Ωのインピーダンスに並列にコンデンサを接続し、虚数分をゼロにすればいいわけです。したがって、1/(5+j5)のアドミタンスとjωCのサセプタンスを足し、これの虚数をゼロにします。この条件からY結線のCが求まり、これをΔ型に変換すれば答えが求まります。計算は図にします。

電験3種過去問解説 平成27年理論問16

(a)

ΔーY変換の公式を知らないと解けないような気がしますが、そんなの知らなくても簡単に解けます。

Δ-Y変換は、要するに外部から見て回路の挙動が全く同じであればいいわけです。ここで図2のb-c間(b-d間、c-d間でもOK)を見ると、3μFのコンデンサと、1.5μF(←3μFのコンデンサが2個直列)が並列になっていると見なせます。つまり、4.5μFの静電容量です。

図3の回路を見ると、b-c間、あるいはb-d、c-d間は、いずれも2個のCが直列になっているように見えます。これが4.5μFであればいいので、Cは9μFと求まります。答えは(5)です。

(b)

(a)の結果を用いて回路のb-c-d間を置き換えると、aから(9μFと9μFの直列)と(18μFと9μFの直列)が並列となり、その次に9μFが直列に入ってdに至る回路となります。あとはコンデンサの並列・直列の式を使って計算するだけです。答えは(3)になります。

電験3種過去問解説 平成27年理論問5

ファラデーの電磁誘導の法則の問題です。

電磁誘導の法則は、「コイルに発生する電圧は、コイルの中を貫く正味の磁束量の時間変化に比例する」というものです。コイルを貫く正味の磁束量は、

  • 磁束密度×(その磁束内を貫く)コイルの面積×コイルの巻き数

で求まります。電圧の向きは、フレミングの右手の法則に従います。

さて、この問題で時刻Tを過ぎてからは、コイルの三角形の部分が磁束の中に入ります。図を見れば分かるように、コイルが進めば進むほど、コイルが磁束の中に入る面積の増加分は増えていきますから、選択肢(3)か(5)のように電圧が上昇していくグラフになるはずです。コイルが全部磁束内に入ってしまったら、コイルの内部を貫く磁束の時間変化はゼロになるので、発生する電圧もゼロになります。したがって、答えは(5)しかあり得ません。